私たちは事あるごとに「逃げてはいけない」「正々堂々と戦え」と刷り込まれ続けます。
酷い時には逃げの手に出た人を敗残者呼ばわりしたり人生の落伍者呼ばわりします。
さすがに昨今はこの手の悪しき根性論は影を潜めてますが、何かの拍子に噴き出すこともあります。
以前にブームとなったアニメの中に出てきた「逃げちゃダメだ!」は有名なセリフですよね。
このセリフのせいで、どれだけの方たちが生きづらさをこじらせてしまったか・・と思うと切ないです。
そもそも、「逃げたら負け、正面切って戦うのが正しい」的な考え方は、あくまで強者の論理です。
もっと言えば統治者の論理です。
ただ・・誤解しないでくださいね。
私はいつも逃げてしまえ、と言いたいわけではありません。
正面突破した方がよさげに思えるときには正々堂々と戦い、逃げた方が自分にとって良い結果となりそうなときは逃げの手を打つ・・とごく当たり前のことを言いたいだけなのです。
要するにケース・バイ・ケースで自分の頭で判断した方がいいですよと。
古今東西、傑出した指揮官や将軍はこの押し引きのバランスが優れています。
特に「撤退戦」に秀でています。
撤退戦がうまくできることこそが(「良い負け方」ともいえますね)名将の条件だともよく言われています。
有名なエピソードとしてよく取り上げられるケースに豊臣秀吉の「金ヶ崎の戦い」があります。
秀吉は敗色濃厚なこの戦の「殿」を命じられ、首尾よくこなしたことが後の大出世につながりました。
主君の織田信長はこの戦において「逃げ足の速さ」を見せて、無事に生き残りました。
逃げ足が速いこともまた名将の条件だとも言われています。
この世知辛い世の中をうまく泳いでいくには、「正面からぶつかる」ときと「さっさと逃げてしまう」ときの見極めこそが大切なのだと思います。
その見極め方を身に着けるための虎の巻のようなものはありません。
とてもマニュアル化はできない性質のものです。
今まで生きてきた中で得た知恵と知識と磨いてきた直感力を総動員して、事に当たるしかありません。
くれぐれも、○○あるべきとか○○でなければならない、といった刷り込まれてきた思い込みに惑わされないようにしましょう・・・といった程度のことしか私には言えません。
何にしろ、何らかの困難事に遭ったとき、必ず「自分に合った善き手段」はあると信じ、一旦決断したことは「覚悟を定める」といった態度を貫き続ければ道は開ける・・私はそう信じています。
逃げること=悪なんて単なる思い込みです。
逃げの手はとても優れた戦略・戦術だと思い定めるとあらゆる物事がうまくいく可能性が高まります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
あなたにすべての善きことが雪崩のごとく起きます。