日本は立法・行政・司法からなる三権分立だと学校で習った。国権の最高機関は立法府である国会であるとも習った。
実態はどうだろうか。
行政が肥大化し官僚支配が蔓延り、国会は形骸化し、司法は行政の統制下に置かれている。
法律を作るのは国会の権能である。具体的にいえば国会議員の仕事で最も重要なのは国民の要望を汲み取り、それを法律という形にすることである。
そこで議員立法と政府(行政)が作成した法律の数を調べてみた。
2011年 政府 82 議員立法 30
2013年 政府 63 議員立法 11
いずれの年も政府制定の法律の数が圧倒的だ。
政府が作る法律とは官僚が作った法律のことである。法律を忠実に執行する役割を担うに過ぎない官僚が法律を作成しているのはおかしいのではないか。さらに言えば、役人は自分達に都合の良い法律を自ら作り、それを裁量によって思いのままに運用できることになる。まさに官僚支配である。
そもそも役人・官僚は試験を通っただけに過ぎない。国民によって選ばれたわけではない。行政機関の一員という「役割」を与えられただけの存在である。そこに権力が集中すると言うのは異様なことだ。絶対王政下ならともかく、今は曲がりなりにも民主主義国家なのである。
僕たちが法律に従う根源的な理由は、国民の代表者である議員が議会で決めたものだからだ。「お上」が上から支配するために決めた「お触書」とは訳が違う。
やはり国会や国会議員に本来の仕事をしてもらわなければならないと思う。
ただ国会議員個人の力には限界がある。
そこで僕は政党シンクタンクの拡充を図るべきだと提言する。各政党が独自の政策を法律化できる体制を構築するのである。
政党助成金を廃止して、代わりに政党シンクタンク助成金を創設する。各シンクタンクには研究者・官界・民間からバランスよく人材を揃える。このシンクタンクを経て大学の教員や政治家への足がかりにしても構わない。政党シンクタンクは志と意欲や能力のある人材を発掘する場として機能すれば国民の利益となる。
国会が本来の役割を果たして多くの法律を制定できるようになると、役人も本来の仕事に専念できるようになる(役人が既得権を手放したくないと抵抗するかもしれないが)。
国民の要望を取り入れた法律を作るということは、国民の利益にもつながると思う。そのための政党シンクタンクであり、税金を投入しても許されるのではと考える。
行政の肥大化がさらに進めば、国民(庶民)の要望や意識との乖離が顕著になる。
政府・行政の暴走を食い止める方策が是非とも必要である。
その役割を国会が担うことが最も望ましい。
確かに無能な国会議員もいるが、それでも国民の代表なのである。
国会議員の資質を高めるためにも、政党シンクタンクは必要であると思う。