希望の舎―再生編ー

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日本的な給料の決め方は良いのか悪いのかという件

給料の決め方には色々な分類法があるが、よく用いられるものとして「属人給」と「仕事給」と二分する方法がある。

属人給とは人に値段をつける方法である。就いている職種に関係なくその人の職務遂行能力の到達度で決める方法である。年功給や職能給がこれにあたる。

仕事給とは仕事に値段をつける方法である。その仕事に就いてる人の年齢や職歴に関係なく仕事の種類・難易度等で決める。職務給がこれにあたる。

 

この国では高度経済成長以降は職能給がメインストリームとなり、属人給が多くの会社で採用されている。それぞれの人の属性に着目して給料を決めるやり方は多くの人たちにとって半ば常識化されている。ある会社で職歴を積む(年齢を重ねると)と能力は上がり、それにつれて給料が上がるのは自明とされていたのである。

しかし、この考え方はグローバル・スタンダードとはいえない。また、必ずしも合理的とはいえない。

例えばある部署で新卒5年目のAさんがいるとしよう。彼はその部署の仕事をほぼ完全に把握し、かなり高度な仕事をしている。その部署に20年目のBさんが人事異動でやってきた。その部署では新人である。属人給的な給料の決め方だと、Bさんの方が高給取りになる。他の部署で積み重ねた職能等級が上だからである。その部署ではAさんの方がはるかに仕事ができても給料には反映されない。

この事実をどうとらえるかである。

Aさんのような若手にとっては良いシステムではない。他方Bさんにとっては旨味のあるシステムである。

だからといってAさんの給料をBさんよりも上にすることはできない。将来はAさんもベテランになり、Bさんのような処遇を受けるメリットがあるからだ。また、異なる職種間の人事異動があるこの国の会社の正社員の処遇システムでは属人給を採用した方が社員のモチベーションを維持することができる。

 

一方、職務給をはじめとする仕事給では上述のような事態は起こらない。AさんとBさんの給料は同額かあるいはAさんの方が上になる。ただし、仕事給の会社では原則として異なる職種間の人事異動がないので、上述のような状況にはならないことは注意を要する。

 

実は高度経済成長が始まる頃の1950年代から60年代前半にかけて当時の日経連は職務給の導入を図ったことがある。しかし、労働組合側の反発(中高年者の給料の切り下げになるとの理由)と高度経済成長が本格化し職能給へシフトしたことにより立ち消えとなった。

経済が右肩上がりのときには職能給をはじめとする属人給の方が労使共にメリットがあったのだ。

 

現在は経済成長は停滞している。

従来型の職能給では会社はもたなくなってきている。だから、成果主義・業績主義等の賃金体系を導入する圧力がかかっている。

しかし、完全な成果給を採用するといったドラスティックな変革はごく一部の会社で行われているだけで、大半の会社は従来の職能給を少し弄っただけの賃金体系に変更しているだけである。

 

日本的な給料の決め方には良い面も悪い面もある。ひとつの会社で勤め続けるのが良いという価値観を見直す必要があるように思う。

属人給的なものと仕事給的なものをバランス良く配合することも考えなければならない。

ひとりの給料に双方を組み込んだり、あるいは属人給的な社員と仕事給的な社員を別枠採用する。

現状は正社員は属人給的な色合いが濃くて、非正規社員は仕事給(一律時間給)である。正社員でも例えば総合職は属人給、限定正社員は仕事給にするなど柔軟で多様な働き方を設定することも真剣に検討する時期にきていると思う。

 

給料については万人が納得するようなシステムは存在しない。いわば妥協の産物である。

働き方、労働観の多様化に対応可能な賃金体系をそれぞれの会社が構築することが、変動の激しい今を乗り切るための第一歩となるのではないだろうか。

 

働く者にとってオルタナティヴがあることが何よりも大切になってくる。

 

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