希望の舎―キボウノイエ―

漂泊を続ける民が綴るブログ。ちょっとナナメからの視点で語ります。これからの働き方・中世史・昭和前期の軍の組織論・労働問題・貧困問題・教育問題などに興味があるので、それらの話題が中心になります。

僕が最初の勤め先を辞めようと思った瞬間のことを書いてみる、という件

何度もこのブログに書いているが、僕は大学を卒業してある政令指定都市の公務員となった。平成になったばかりの頃のことである。

僕は高い志を持って公務員になったわけではない。

民間企業に入って会社の利益を上げるためだけに働くのもどうかなぁといった思いを持っていたし、さりとて大学院に進んで研究者の道を進む覚悟も持てない。そういった中で消極的に公務員にでもなるかと思い、採用試験を受けたのである。

 

なんだかんだで運よく採用試験に受かり、僕は公務員として働きだしたわけである。

多少の期待はあったのも事実である。働き始めたら仕事を楽しく思えるのではないか、自分の人生をかけてもいいと思える何かに出会えるのではないか、と。

しかし、いざ働き始めても、ただつまらないと思う日々が続いた。

すぐに辞めたくなった。

ただ、辞めるにしても、次に何をすればよいのか皆目分からない。

僕は退職を先延ばしすることにした。

今の職場から異動すれば、次の職場では仕事の面白みを見つけることができるかもしれない、という淡い期待を抱いて。

入職して4年目に異動があり、僕は意に反した、最も行きたくないと思っていた職場に移った。

 

当時のその市役所の人事労務管理は「希望した部署には行かさない」といったものだった。僕だけではない。同僚や同期生もほぼ皆、希望した部署には異動できていなかった。

僕の気持ちは日を追うにつれて、辞める方に傾いていった。

 

ある日、仕事がひと段落ついたので喫煙所でタバコを吸っていた。その時、窓の外から夕暮れの日の光が差し込んできた。それをぼんやりと見ていて、僕は「もう辞めよう」と決心した。理由は今もって分からない。その時、はっきりと辞めてしまおう、もう無理だ、との思いが僕の心に充満したのだ。

僕はその日に帰宅してからすぐに退職願を書き、翌日上司にそれを提出した。

不安はあったが、不安よりも今の状況から抜け出したいという思いの方が強かったのである。

 

僕は今もあの時の夕暮れの日の光の色合いや空気感を鮮明に覚えている。

人が何事かを決心するときなんてこんなもんである。

ちょっとしたきっかけで心が大きく動く。

僕たちはこういったものの積み重ねの人生を送っている。

 

 僕は公務員を辞めてから後、もし辞めていなかったらどうなっていたかと考えたことはない。

そんな人生は考えられないからである。

フラフラとして、腰を落ち着けない生き方が僕には似合っている。

本当にそう思う。

経済的な安定と引き換えに僕は多くのものを得たと思っている。

半分は強がりであり、半分は本音である。