僕は自他ともに認めるダメ人間である。
ビンボーヒマあり状態にどっぷりと浸かっているダメ人間である。
そんな僕ではあるけれども、若い頃はバリバリと働くサラリーマンだった・・・ということはない。
思い返せば、典型的なダメサラリーマンだった。
最初の勤務先である市役所でも、そこを辞めて以降に正社員として勤めた専門学校や福祉施設でも、自分の職務はそつなくこなせてはいたが、メンタリティというかサラリーマンとしての心構えが全くなっていなかったように思う。
なにしろ、どこの職場でもそこに長くいることがたまらなく苦痛であった。残業なんて苦行そのものだった。上司や同僚との仕事以外のつきあいもしたくはなかった。元々酒が飲めないということもあったが、退勤後にちょっと一杯なんて考えられないことだった。
サラリーマンの最大の関心事といえば人事である。僕はそれにも全く興味を示さなかった。誰某が昇進したとか、どの部署に異動になったとか、左遷されたとかは僕にとってはどうでもいいことだった。さすがに僕自身がどの職場に配属されるかは気になったが、元々勤労意欲が薄く、定年まで勤める気がなかったのだから、どこか他人事のようだった。
僕がサラリーマンをしていた頃、次の休みが早く来ないかということばかりに気がいっていた。出勤したばかりなのに、早く家に帰りたいということばかり考えていた。
時々、どうしても出社したくない日はズル休みをした。この時ほど有給休暇という労働者の権利をありがたく思ったことはない。
こんな奴にサラリーマンが務まるはずはない。だから、早々にサラリーマン生活に見切りをつけて、フリーランスの道を選んだのだ。
フリーランスとして仕事をしていたときは、しんどいことも多々あったけれども、なかなかに楽しかった。バカな上司と付き合う必要はない。気の合わない同僚と付き合わなくて済む。時には厄介なクライアントがいたが、そういう人たちとは仕事をしないという選択もできた(当然に報酬が入らないことになるが、我慢して仕事をするよりましである)。
どうやら、僕はフリーランスとしての働き方が性に合っていたようだ。尤も、カネ儲けの才能が決定的に欠如していることが問題だけれども。
僕は自分がダメサラリーマンだったことをこれっぽっちも卑下していない。
たかだか勤め人に向いていたかどうかの話である。人としての価値を毀損するものではない、と思っている。
いやむしろ、ダメサラリーマンだったことを自らの存在価値とみなしていこうとさえ思っている。自己肯定感を損なうことはない。
さて、残りの人生、どうやってしのいでいこうか。
なかなかに厄介な問題が目の前に横たわっている。
まあ、何とかなるさ。