サラリーマン、つまり労働者を続けている限りは収入は大幅には増えない。
労働者が受け取る賃金には天井がある。たとえ勤めている会社が業績をアップさせても殆ど給料は上がらない仕組みとなっている。そうでなければ資本主義システムは成立しないのである。
マルクスによると賃金は生産関係であり「分配」ではない。
賃金は①衣食住を満たす生活費に相当する額、②労働者の再生産に要する額、③技術革新に対応する教育・訓練に要する費用によって決まるものである。
①は次の日以降も労働に従事することができるように食事や娯楽や休養等にかかる費用である。②は結婚し子供を持ちその子が労働者となるために要する費用(教育費等)である。③は技術が高度化したときにそれに対応し労働者として賃金を得続けるための費用である。
つまり労働者は常にギリギリの生活を続けることを宿命づけられているのである。
サラリーマンを続けながら収入を増やす方法としては以下のものが考えられる。
①目いっぱい残業をする。
残業代が全額支給されることを前提として、月に200時間の残業を続けると確かに給料は増える。しかし、こんな無茶な残業を続ければ心身を壊すことになる。また、残業ができなくなれば元の木阿弥となる。
②出世する。
出世して役員となり経営層に連なると格段に報酬は増える。しかしまともな会社では出世するためには相当の月日を要する。また、出世のための過当競争にも巻き込まれる。「運」にも左右される。
③画期的な発明をする。
画期的な商品・サービスを開発し、その利益が増大すると収入が増える可能性がある。しかし、その増加は大抵は報奨金等の名目で一時的なものである。基本給が数倍にアップすることはない。そしてその報奨金等は利益額に対して微々たるものであることが多い。
④副業をする。
確かに副業をすれば収入自体は増える。しかし、副業の質にもよる。他の会社でアルバイトをしても労働時間が増えるだけで本質的には何も変わらない。フリーランスで副業をするにしても、相当程度の専門知識やアイデアが必要となる。一般のサラリーマンにとっては結構ハードルが高い。
サラリーマンを続けながら大幅な収入アップを目指すことはかなり難しい。
収入を格段に上げるためには「労働者階級」から足を洗うしかない。
高額商品・サービスを取り扱う完全歩合給の仕事に就く、起業して成功する、不動産投資や株式投資等によって不労所得を得ることなどである。
これらは上記のサラリーマンを続けながら収入アップを目指す方法よりハードルが高いしリスクもある。リスクを取らないと多くのカネは稼げないのは自明のことである。
多くのサラリーマンは一見安定した立場を捨てることに逡巡する。
多くのサラリーマンはリスクを取らずに収入アップの方法がないものかと右往左往している。
はっきり言ってそんな都合の良いものはない。
安定した立場を捨てたくないのなら今の、決められたサラリーに文句を言わずにサラリーマンを続けていればいいのである。
ただし、サラリーマン(労働者)でいる限りはいつまで経っても生活に追われ、諸々の支払いに追われる日々が続くことを受け入れなければならない。資本主義体制を支持し、その体制に順応してそこそこの生活を営むためには当然のことである。