希望の舎―再生編ー

ライフサポーター&開運アドバイザーが書き綴るブログです。「あなたの心に灯をともす」ため、先人が伝承し語り継いできた叡智を伝えます。テーマは歴史/教育/宇宙論/仕事/居場所/心と体の癒し/健康法/開運法/運気アップ/民俗学/文化人類学/食養生法/少食/自然医学/甲田療法/中村天風/斎藤一人/エドガー・ケーシー/生きづらさ

僕が出会った愉快(不愉快?)な社長たちの話をしてみる件

僕は社会保険労務士事務所を営んでいるときに多くの経営者に会ってきた。殆どが中小零細企業のオーナー社長である。サラリーマンとは一味もふた味も違ったユニークな人たちが多かったように思う。なまじ個性が強いだけに「私が法律だ」的な人も中にはいて、労働基準法をはじめとする労働法令を守ってもらうのに骨が折れる事案も少なからずあったことを覚えている。

 

Aさんはなぜだか社員が有給休暇を取ることを極度に嫌う経営者だった。確かに有給休暇は経営者から見ると働かないのに給料を払わなければならない理不尽な制度である。またAさんの会社はシフト勤務を敷いていてギリギリの人員でずっと回していたことも関係していたのだろう。1人でも休むととたんに出勤している社員の負担が増えて仕事が回らなくなっていた。こんな状態にあるのは経営者のマネジメントがなっていないからであり、もしものときのことを考慮した人員配置にする必要がある、というのは理想論であって中小零細企業ではなかなかできない。

この会社では社員の不満がたまってきた。常に人員が足りない状態で仕事を回していて、有給休暇どころか休日も取れないようなことが常態化したのだ。ある日急に3人の社員が同時に辞めることになってしまった。さすがのA社長もこれにはかなり参ってしまい、このことを契機として社員の増員をし、またしぶしぶながらも有給休暇を取得することを認めるようになった。

 

Bさんは残業をすること、というよりは残業代を支払うことを極度に嫌がる経営者であった。この人はまさに「自分が法律」というメンタリティを持っている御仁であった。Bさんの会社の始業時間は9時だったのだが、社員には「自主的」に7時に出勤することを求めていた。退勤時間は午後6時である。当然のことながら早朝出勤分の2時間は残業時間となる。しかし、Bさんの言い分は残業とは退勤時間を過ぎてからのもので、自主的に朝早く出勤した分は残業にはならないというものであった。

結局ある社員が残業代未払いということで労働基準監督署に駆け込み、この会社は労基署から是正勧告を受けることになった。僕は是正勧告の後処理と勤務時間と残業代についての案を作成したのちにこの会社の顧問を辞めることになった。B社長は是正勧告にもへこたれず、相変わらず社員の「サービス残業」ありきの勤務体制を続けようとしたから、僕は手を引いたのだ。

 

僕はAさんとBさんに対して口酸っぱく法令を守ることを言い、またそのための代替案を示したりした。この代替案はグレーな部分にまで足を踏み込んだものであった。しかし、両者ともに事が起こるまで改めようとはしなかった。Bさんに至っては事が起こってからも実質的な労働時要件の改善をしようとはしなかった。その当時は僕の力不足だと感じていたが、今となってはそんな殊勝な思いはなくなった。所詮、士業やコンサルタントなんて外部の「イヤごと言い」に過ぎないのだ。顧客である社長が動こうとしない限り何を言っても何をやっても無駄なのである。優秀なコンサルは顧客の心を動かす、といった類の言説が存在するが、それはコンサルやそれに類する人の傲慢な物言いである。時には(僕にもあったが)顧客の心を動かし、状況を変化させることができることもある。それはあくまでも幸運な事例である。「有名」なコンサルタントはこの幸運な事例のみを取捨選択して喧伝し拡散しているだけなのである。

 

僕はAさんとBさんが経営していた会社をブラック企業呼ばわりすることができないし、安易にブラック企業というレッテル貼りをすることができない。規模の小さい会社には特有の問題があって大企業と同列に論じてはならない。慢性的な人手不足、社員の質の問題、資金繰りの問題等々である。

僕は今でもAさんやBさん、その他のここでは取り上げなかった街の社長さんたちを「労働者の敵」だといって指弾することに若干の抵抗がある。

 

 

 

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