僕のブログに辿りつく検索ワードで、「公務員 辞めた」「公務員 辞めたい」等公務員を辞めることに関するものが結構多い。
公務員を実際に辞めるかどうかは別として、今の仕事に疑問や不満を持っている現職の公務員が多いのかもしれない。
公務員は「安定」の代名詞的な職種であり、景気が安定しないご時世では希望者が多い。その公務員という地位を手に入れたのに、辞めたいなどと考えるのは甘いだとか世の中を舐めているとかいう声は多い。しかし公務員という仕事は民間企業とは異なるしんどさがあるのも事実である。
では実際に公務員を辞めてしまった人たちは使い勝手があるのかと聞かれると、人によるとしか答えようがない。
公務員は利益を考えずに仕事をしていたので、民間企業や自営・フリーランスには向かないと一般に言われている。これは元公務員にとって最も大きなマイナスイメージである。これも人によるところが大きい。部署によっては費用対効果を考慮する仕事もあるし、昔に比べて市民の監視も強くなっており、赤字を無自覚に垂れ流すような仕事は減っている。費用対効果を重視した部署で仕事を続けた人は何とかなるだろう(民間企業に比べて甘さはあるが)。
また勤続年数という要素も見逃せない。20年30年と勤続し、公務員の行動様式にどっぷりと浸かった人は厳しいかもしれない。現在の会社では柔軟性とスピードが要求されるので、それについていけない人は厳しいと思う。
マイナス面ばかりを強調しても良くないので、元公務員としてのプラス面について書いていこう。
元公務員という職歴のプラス面を活かした転身がリスクの低い対処方法である。
キャリア官僚が退職後に政治家・大学教授やコメンテーター、若手の場合は外資系金融機関に転身するケースがある。さすがに腐っても鯛(適切な表現ではないかもしれないが)である。このケースでは自分のキャリアを活かしている。ただ元キャリア官僚の華やかな転身はレアケースである。
ノンキャリアや地方公務員の場合はもっと地道に転身を図らなければならない。
大卒程度の行政職公務員試験を突破するには法律と経済の知識が要求される。この知識はなかなか捨てたものではない。僕は公務員を辞めた直後に法律系専門学校の講師の職を得ることができた。法律科目と公務員受験対策の担当となり、貴重な人材として扱いも良かった。非常勤となったときも最低時給が3500円だったと記憶している。この仕事のおかげで社労士として開業した当初は生活費を確保することができた。
また、公務員はやたら文書を作るので、文書作成能力を活かすことも考えられる。僕の場合は社労士のときには文書・書類作成で苦労したことがなかった。社労士を辞めて介護関連会社に就職したときも、文書・書類作成の一切を任された。具体的には社内文書の統一や管理・対役所書類の作成等を担い、結果そこそこ重宝された。
僕はたまたま運が良かっただけだとは思う。
しかし、公務員の行動様式をかなぐり捨てて、かつ公務員時代に培った自分の強みを活かせば道は開けると思う。
以前のエントリーでも書いたが、僕は公務員を辞めたおかげで、様々な境遇の人たちと出会うことができて、自分の人生観や仕事観が劇的に変わった。経済的には必ずしも恵まれなかったが、それと引き換えに大きな「宝」を手に入れることができた。
公務員を短絡的に辞めることには賛成しない。
安定した身分保障は捨てがたい。
行政マンとして素晴らしい仕事ができることもある。
しかし、失うことによって得られるものもある。自分が最も大切にする価値観をどこにおくか、をじっくり考えてみるのも必要だと思う。