「就活」とは就職活動の略語である。
狭義では大卒者の新卒採用に関する就職活動を指す。巷で話題になるのも殆ど大学新卒者の就活である。
就職活動は大学新卒者の専売特許ではない。中高卒者や既卒者の就職活動も中高年の転職活動もすべて「就活」のはずである。
なぜ大学新卒者の就活ばかりクローズアップされるのだろうか。
会社の基幹人材を採用するからという考え方がある。
大卒新卒者の新規採用の動向が、その時々の経済指標になるからという考え方もある。
大卒者が同世代の半数を超えて、マジョリティになってきたからという説もある。
それにしてもである。
たかが大学生の就職活動に大騒ぎし、またそれに便乗して「就活商法」で一儲けしてやろうという輩が跋扈する状況は異常であると思う。
自己分析や面接対策などは付け焼刃に過ぎないと分かっているのに、就活生も会社側もそれらに振り回されている様は滑稽としか言いようがない。
また、新卒時の就活で一生が決まるという言説が幅を利かせているのも納得がいかない。学生の身で会社の実態が分かるはずもなく、ミスマッチが起こるのは当たり前のことである。一つの会社で勤め上げるのを良しとする昭和的価値観はすでに過去の遺物となっている。
就活の結果で一生が決まるなんて嘘である。
人生は本人の意志や意欲次第でいくらでもやり直しができる。何も正社員だけが正しい働き方ではない。
新卒で入社した会社で働くことは、一種の通過儀礼と考えてもよいと思う。社畜になりたくなければ、それくらいの余裕を持つことは必要である。
大学新卒者の就活騒ぎの陰で、高校新卒者の求人が激減していることがあまり注目されていない。高校新卒者で正社員になる者の比率が下がり、非正規雇用が増えている。中には就職を先送りするために大学進学をするケースも多いという。この場合も進学先が非難関大学であれば、意に沿わない就職になる可能性が高くなる。しかも奨学金(実態は教育ローン)を借りて進学した場合、その返済に苦しむというケースが増えているのも大問題である。
また、既卒者の就職活動や中高年の転職活動が厳しいという問題も依然として存在する。フリーターをはじめとする非正規雇用から正社員への道も険しいものがある。
このように雇用問題は各年代層に共通の解決すべき問題である。
大学新卒者の就活を取り扱っていれば、雇用問題を考えていることになるという風潮は明らかに間違っている。
大学新卒者の就活なんて、人生の中のイベントのひとつに過ぎない。
新卒で正社員として就職しないと人生がダメになるという強迫観念から脱するべきである。
自分の生き方を決め付けないことだ。
人間至る所に青山がある。