希望の舎―キボウノイエ―

漂泊を続ける民が綴るブログ。ちょっとナナメからの視点で語ります。これからの働き方・中世史・昭和前期の軍の組織論・労働問題・貧困問題・教育問題などに興味があるので、それらの話題が中心になります。

持たざる者は「弱者の戦略」を採るに限るという件

僕はビジネス書を殆ど読まない。

成功した経営者の自慢話を聞いても心に響かないし、人生の役に立たないと思うからだ。

僕はある事業に成功したのは「運」や「時流に乗った」という要因が大きいからと考えている(あくまで僕の独断であり正しいかどうかは分からない)。

経営戦略を練り、経営理念に基づいて成功したケースはどのくらいの割合なのだろうか。それほど多くはないと推測する。

 

そんなひねくれ者の僕だが、「弱者の戦略」と言われているランチェスター戦略に関する入門書や概説書は面白く読んだ。このランチェスター系の著書に出会ったのが社労士を廃業した後だったことが残念に思っている。僕は一人で社労士事務所を営んでいたので、まさに零細弱者の自営業者だった。ランチェスター戦略を用いていれば、結果は変わっていたかもしれない。まあ、今更言っても仕方のないことであるが。

 

ランチェスター戦略は色々な戦術を用いるが、主なものとして、「接近戦で個別撃破」「エリア戦略を重視し、エリアで№1となる」などがある。ベトナム戦争でゲリラ戦術を用いたベトコンが強大なアメリカを打ち負かしたことをイメージすればよい。

 

この弱者の戦略は経営手法として知られているが、僕は弱者による社会運動などに応用すれば意外と効果が上がるように思っている。

 

弱者が強者と渡り合うには同じ土俵で同じような戦略・戦術で戦っても勝ち目はなく、弱者特有の戦略をもって戦いを挑まなければならない。

 

弱者の社会運動は、活動を始めた当初は経済基盤が弱く、参加人員もさほど多くはない。活動を続けていくうちに、カンパや寄付を集めて参加者を増やしていく必要がある。地道な活動を積み重ねて、やがて全国規模の活動に移行していくのが理想だ。

 

地域ユニオンを例に取るとその多くは専従職員を多く配置できない状況である。組合組織率の低下や非正規雇用の人たちが増加する中で、地域ユニオンの果たす役割は重要になっている。地域ユニオンが力を持つことで、弱い立場の労働者の権利擁護がなされ、経営者の横暴を抑止することにつながる。

地域ユニオンの力を強めるためには弱者の戦略を貫くことも必要だと思う。

まずは接近戦・個別の戦いに強くなることだ。

具体的には団体交渉の実力を高めて問題解決能力を強くすることである。この点については多くの地域ユニオンは数多くの実績を上げており、実力はある。

次にエリア戦略である。

ある地域で労働問題が起これば、○○ユニオンを頼れば力強い味方になるという評判を得ることだ。「鬼の○○ユニオン」などという異名を得るくらい有名になれば言うことはない。そのエリアで揺ぎ無い地位を得ることが重要である。

個々の地域ユニオンが個別の突破力を有する強い集団になって、さらに広いエリア内で連携する。そして、全国規模の連携を強めることで質量ともに強い連合体になる。今も地域ユニオンの連合体はあるが、参加数も少ないし、影響力の点で考えると少し心許ないような気がする。

今もそれぞれの地域ユニオンは限られた資源の中で頑張っているとは思う。しかし社会の中で大きな影響力を持っているとは言いがたい。

 

地域ユニオンだけではなく、様々な社会運動においても「弱者の戦略」を用いた活動方法を考えてみたらどうだろう。

 

社会問題を解決する有効な手段は、イデオロギーでもデモでもなく、小規模の集団から始まり個別の突破力を持つようになったエリア内最強の集団の実行力である、と僕は思う。