希望の舎―キボウノイエ―

漂泊を続ける民が綴るブログ。ちょっとナナメからの視点で語ります。これからの働き方・中世史・昭和前期の軍の組織論・労働問題・貧困問題・教育問題などに興味があるので、それらの話題が中心になります。

有給休暇は取らなきゃ損、という件〈改題・再掲〉

有給休暇は要件を満たせば発生する強い権利である。

恩恵的なものではない。

この点を誤解している人が多い。

会社は有給休暇の所得を拒むことはできないのだ。

 

初出 2014/9/4

 

たまには元社労士らしいテーマで書いてみようと思う。

そこで今回は年次有給休暇(以下「有休」)についてあれこれ書き綴っていく。

 

有休は労働者が有する当然の権利である。

会社からの恩恵でもないし、会社が認めてはじめて生じるような性質を持つ権利でもない。世の中ではこのような誤解があり、有休を発生させなかったり取得させない会社が沢山ある。

有休は採用後半年を経過して所定労働日数の8割以上出勤していれば自動的に付与される。特別な手続きは要しない。

人事評価の高低、働きぶりや正社員・パート・アルバイト等の雇用形態に関係なく平等に付与される。また、どのような会社(規模の大小、業種等)に勤めようとも無関係に付与される。

たまに「ウチのような小さい会社には有休の制度がない」とか「パートには有休はない」などと言う経営者がいるが、それは全くのデタラメである。

有休は労働者が有する「強い」権利であり、会社は有休を与えないと刑罰が科せられる。

 

有休を取得するときに、その理由は一切問われない。また会社に取得理由を申告する必要もない。

「私事都合」「家事都合」で事足りるのだ。

有休の理由を申告させるような会社があるが、それは違法な取り扱いを行っていることになる。

また、有休を取得することによってその労働者に不利益な取り扱いをしてはならない。有休を取得したことによって人事評価を下げたり賞与の査定を下げたりしてはならない。もちろん皆勤手当等の諸手当の減額もできない。

仕事を休んでいるのにその分の給料を払うのはイヤだという経営者の気持ちは理解できなくもないが、これはれっきとしたルールであり、労働者が長年に渡って闘い獲得した権利である。

「ノーワーク・ノーペイ」の原則を覆す労働者にとって画期的な権利なのである。

 

会社は労働者からの有休取得の請求を拒否できない。拒否して有休を取得させなければ労基法違反となる。例外として会社には「時季変更権」が認められているだけである。会社の業務が繁忙期等の理由があれば、有休取得の時季を変更できるが、あくまで「有休の日を変更」できるだけであって有休の取得自体を拒むことはできない。

つまり、労働者はいつでも好きなときに有休を取得することができるのだ。

 

この国の会社では有休の本質を理解していないケースが散見される。

有休を取得させないような圧力を労働者にかけている会社もある。これは「上」からの圧力だけでなく、同僚からの圧力による場合もある。

有休を取得した社員を吊るし上げるようなブラックな会社も存在する。

これらのようなケースが起こるのは、会社側のエゴや無知によるものと労働者の無知と権利意識が希薄なことによるものだ。

 

この国では労働者の有休取得率が半分にも満たない。労働者が持つ当然の権利の行使をしていない。

欧米先進諸国では有休を100%消化するのが当たり前となっている。しかも有休日数は日本よりもかなり多い。

僕は「愛国者」なので何でもかんでも欧米の真似をすることをよしとはしないが、この有休に関しては欧米を見習うべきだと思っている。

 

ただ、現実問題として有休を取得しづらい職場が多いのは確かである。社員の一人でも休めば仕事が回らない職場がざらにある。経営者や上司が有休を取ることを嫌うことも多い。

以前のエントリーでも書いたが、有休も取れないような職場はマネジメントがなっていないのだ。

極論を言えば、有休をろくに取れないような会社は市場から退場すべきなのである。

 

有休の取得率を上げるためには、会社や労働者の意識を変えることはもちろん必要だが、それだけでは不十分である。

この国に根付いている休むことが「悪」というイデオロギーを信奉したままでは事態は何も変わらない。

 

有休を取って仕事を休むことは至極真っ当なことだと、当たり前のことなのだと、そのような考え方を持つ必要がある。

適当に「休む」ことは善なのである。