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希望の舎―キボウノイエ―

漂泊を続ける民が綴るブログ。ちょっとナナメからの視点で語ります。これからの働き方・中世史・昭和前期の軍の組織論・労働問題・貧困問題・教育問題などに興味があるので、それらの話題が中心になります。

「狂気」という病について考えてみる件―其の弐―

精神疾患は脳のはたらきの不具合によって引き起こされる。数ある病気のうちの一つに過ぎない。このように考えられるようになったのは遠い昔の話ではない。

精神の病に罹った人たちには時として常人離れした言動が見られるので、「まともな人」たちは畏怖したのだ。自分たちとは違う世界に住む人たちだと思い込んでいたのである。

 

中世のヨーロッパで吹き荒れた魔女狩りはいわば精神病者たちに対する弾圧だといえる。「魔女」とみなされた人の多くは何らかの精神疾患を持っていたと考えられる。現在ならば統合失調症双極性障害、神経症などと診断される人たちは当時は悪魔や悪霊が憑いた者として社会から排除されたのだ。

魔女裁判においては「裁判」とは名ばかりで、死刑・火炙りの刑に処することが端から決まっていた暗黒裁判だったのだ。一旦「魔女」という烙印を押されると反証を一切許されない怖ろしいものだった。精神を病んでいるというだけで死刑になるというトンデモない時代があったのだ。

 

中世の人たちは迷信に踊らされていたと一笑に付すのは現代人の傲慢以外の何物でもない。

僕たちもまた中世の人々と同様に精神病者を差別し、偏見を持ち、社会から排除するように仕向けているのではないだろうか。

人は自分の理解の範疇を超えるものに対して恐怖心を抱く。

その恐怖心が攻撃性を帯びて、一定のカテゴライズされた一群に対しての暴力となって顕れる。

それを繰り返している歴史がある。

 

僕がかつて住んでいた所の近所に精神病院があった。当時のその病院は患者への虐待が行われているという噂が絶えなかった。たびたび患者が「脱走」していた。駅に患者と思しき人が書いた告発文が貼られていたこともある。

僕は幼心に精神病院はキチ外が沢山入っている怖ろしい場所だと感じていた。患者はこの世の人ではなく、別世界に住む人たちだと考えていた。

この稚拙で偏見に満ちた精神病あるいは精神病院に対する見方は、未だに世間に根付いているように思う。僕は長ずるにつれてこの偏見は薄らいだが、完全に払拭できているという自信はない。だからこそ精神の病について深く知ろうと模索しているのだ。

 

「狂気」と「正常」を隔てる壁はこの社会では一見厚いと見られている。

そうではない。

「狂気」と「正常」とは薄皮一枚で隔てられているものに過ぎないのだ。

僕たちは「狂気」と隣り合わせに生きている。