希望の舎―キボウノイエ―

漂泊を続ける民が綴るブログ。ちょっとナナメからの視点で語ります。これからの働き方・中世史・昭和前期の軍の組織論・労働問題・貧困問題・教育問題などに興味があるので、それらの話題が中心になります。

会社はフリーターに支払う給料をケチるなという件

僕はこのブログで度々非正規雇用のパートや契約社員の待遇を良くしろと主張してきた。また、フリーター的な働き方でも安定した生活を営めるようにしなければならないとも述べてきた。

 

僕は解雇規制が厳格な正社員だらけのゴチゴチの組織ではもうもたないことは分かっている。会社の負担する人件費は固定費の部分を削減し変動費化しなければならないことも理解している。

 

会社は無い袖を振ってでも社員に一定水準以上の給料を支払うべきだと思う。社員に支払う給料をケチってはならないと思う。

これは何も労働者の権利や生活の安定だけに資するものではない。高い水準の処遇(給料だけでなく労働時間の短縮も含める)を社員に保障することで、長期的に見て会社の利益に繋がるからである。社員の労働意欲も高まるし人材の流出も防止できる。社員をきちんと遇しているとの評判が立てば、良い人材が新たに集まってくる。そんな会社がもっと増えれば、ブラック企業も淘汰できるかもしれない。

これはただの理想論だろうか。

 

このエントリーで最も強く主張したいのは、会社は非正規雇用のパートや契約社員派遣社員を単なる使い捨ての駒として扱うのではなく、有効に戦力として活用することも考えてみるべきだということである。これは正社員と同じ仕事をさせることを意味するのではない(この場合は均等待遇にすべき)。例えば繁忙期に臨時的に働いてもらう非正規雇用の社員を無くてはならない存在だとの意識をもっと持つことだ。この人たちがいなければ会社の業務が回らないことは事実だからである。

 

雇用の調整弁的な役割の非正規雇用の社員について、もっとリスペクトすべきである。彼ら彼女らがいるおかげで、業務が円滑になり、かつ煩雑な正社員の採用業務を免れているのだから。

 

また、有期雇用の非正規社員については賃金の単価を無期雇用の社員よりも高くするべきだとも思う。会社側は有期雇用契約を結ぶことによって解雇のリスクを軽減しているというメリットがある。一方、社員の方は契約の更新がならないという不安定さが付きまといデメリットとなる。公正の観点からも、デメリットを負う有期雇用の非正規社員の賃金単価を高めに設定するという労働市場のコンセンサスが成立するように政策による誘導をすべきである。

 

雇用者に占める非正規雇用の労働者の比率は今後も高くなる可能性が高い。非正規雇用の人たちを限定正社員的な処遇に移行するにしても、その数には限界がある。現実的な対応策としては非正規雇用の社員の処遇の改善を図ることが必要不可欠である。

非正規雇用の社員の処遇が良くなれば、彼ら彼女らの生活が安定して安心して働くことができる。フリーター的な働き方の問題点は不安定さとそれに伴う希望のなさである。この希望とは大概は大それたものではなく、安定していてそこそこ余裕のある生活を継続して営むことである。ならば、正社員になれという声も上がる(かつてバカな国会議員がこのように放言した)が、際限なく働かされる正社員という働き方に問題点も多く、それを望まない人たちも多い。そもそも正社員として採用される入り口が狭まっている。

それと重要なのは、非正規雇用の社員は貴重な存在だとのメッセージを彼ら彼女らに会社が表すことである。使い捨ての方便ではなく本心からのものとして。そうすれば、非正規雇用の人たちの労働意欲も高まるし、会社にとってのメリットにもなる。

 

結局は会社は非正規雇用のパートや契約社員派遣社員の人たちへの給料をケチってはならないということである。非正規雇用の人たちへの処遇改善は、有効な人材活用術だととらえるべきである。

人件費の削減ばかりに気を取られていると、大きなしっぺ返しがあることに思いを至らせなければならない。

 

フリーターがこの社会のマイノリティだとの固定概念が覆される日が、近い将来に訪れるかもしれない。