希望の舎―キボウノイエ―

漂泊を続ける民が綴るブログ。ちょっとナナメからの視点で語ります。これからの働き方・中世史・昭和前期の軍の組織論・労働問題・貧困問題・教育問題などに興味があるので、それらの話題が中心になります。

非正規雇用の社員が低賃金で当たり前という考え方を変えるという件

労働・雇用関連の統計でよく引き合いに出されるのが、正規雇用と非正規雇用の間に存在する賃金格差である。

 

日本の雇用慣行では、非正規雇用の社員が低賃金なのは当然だというのは常識になっている。果たしてその「常識」は絶対的に正しいものなのか。非正規雇用社員の労働時間が正社員よりも短い場合は一理あるだろう。しかし、フルタイムで働き、しかも仕事内容も同じような非正規社員の給料が正社員の半分以下というのは不条理だと僕は思う。EU諸国においては「同一労働・同一賃金」が原則であり、非正規社員と正社員は労働時間の長短によるものにすぎず、両者の均等待遇を図るべきだとの合意ができている。これがいわゆる「グローバル・スタンダード」になりつつある。

 

一方、日本では同じ内容の仕事をしていても、正社員と非正規雇用社員との間に賃金格差が存在する。まるで「身分制度」のように。

ただし、一部例外もある。時給ベースでみると一般事務職的な職種では、正社員と派遣社員とでは大差がない(ただし身分保障に格差がある)。技術系の職種でも、高時給の派遣社員が存在する。

 

一時期、派遣社員をはじめとする、非正規社員の置かれている悲惨な状況について描かれた著書が多数出ていた。「ワーキング・プア」なる言葉も一般に知られるようになった。

 

僕は非正規雇用社員が正社員に置き換わることによって問題が解決するわけではないと思っている。正社員には正社員の抱える問題が、長時間労働・サービス残業・過労死・名ばかり管理職等の人間らしく生きる権利を奪われた状況がある。

それと、あえて非正規雇用を望む層が一定数存在するという事実もある。だからといって、非正規雇用の社員がワーキング・プアに陥ってしまうことは避けなければならない。

 

そこで、非正規雇用の人々が「そこそこ」余裕をもって暮らしていけるための仕組みをつくる必要がある。

まずは、「同一労働・同一賃金」の原則を社会に浸透させる必要がある。場合によっては法規制をかけることも考慮しなければならない。

次に、最低賃金制度のマイナーチェンジである。最低賃金を決定する基準を変えることと、一律に決定せずに仕事内容で段階的に設定することである。補助的な仕事や単純作業の職種では従来の決定方法を踏襲し、正社員と同等の仕事については、管理職を除く一般社員の平均給与額をベースに決定するというのはどうだろう。

そして次に派遣社員については、派遣会社の控除率(ピンハネ率)を法定化し、社員の取り分を確保するようにする。また、契約期間については派遣社員との合意の上で、長期雇用契約(場合によっては無期契約)も認める。現行の3年を限度とする雇用期間の定めがあると、3年を目前に打ち切られてしまうからである。これは正社員を望まない人々にとってはありがたくない制度である。もちろん、派遣社員から、正規の直接雇用へと繋がる制度も確立しておく必要がある。

 

非正規社員でも、給与水準が上がり、雇用期間が長くなればそこそこ安心して暮らしていける。

正社員こそが正しい働き方であるべきだという考えを改めるべきなのではないだろうか。多様な働き方が認められ、かつ安心して生活ができさえすれば、それでいいのではないかと、僕は思う。