希望の舎―キボウノイエ―

漂泊を続ける民が綴るブログ。ちょっとナナメからの視点で語ります。これからの働き方・中世史・昭和前期の軍の組織論・労働問題・貧困問題・教育問題などに興味があるので、それらの話題が中心になります。

本来は滅多なことでは会社はクビにならない件

表題のとおり、会社員、特に正社員は余程の失態を犯さない限りクビにはならない。

刑法に触れる行為、就業規則の懲戒解雇にあたる行為、社会通念を逸脱した行為等があれば、懲戒解雇になる場合もあるが、こんなことはレア・ケースだろう。

 

「普通解雇」にあたる職務に著しく適性を欠くという場合も、会社側は具体的な理由を明らかにして解雇手続きを行わなければならない。常識的に考えて解雇が妥当であるという程度の合理性が求められるのだ。

 

会社の業績が悪化した場合の指名解雇(いわゆるリストラ)も、単に赤字が出た(あるいは赤字になる見込み)という理由だけでは、正当な解雇にはならない。

最高裁の判例で「整理解雇の四要件」というのがあって、業績悪化に伴うクビ切りには高いハードルが設けられている。

 

整理解雇の四要件とは以下の通りである。整理解雇はこの要件にすべて適合しないと無効(不当解雇)とされる。

 

①人員整理の必要性  
 余剰人員の整理解雇を行うには、削減をしなければ経営を維持できないという程度の必要性が認められなければならない。人員整理は基本的に、労働者に特別責められるべき理由がないのに、使用者の都合により一方的になされることから、必要性の判断には慎重を期すべきであるとされている。

②解雇回避努力義務の履行  
期間の定めのない雇用契約(いわゆる正社員)においては、人員整理(解雇)は最終選択手段であることが要求される。
例えば、役員報酬の削減、新規採用の抑制、希望退職者の募集、配置転換、出向等により、整理解雇を回避するための経営努力がなされ、人員整理(解雇)に着手することがやむを得ないと判断される必要がある。

③被解雇者選定の合理性  
 解雇するための人選基準が合理的で、具体的人選も合理的かつ公平でなければならない。

④手続の妥当性  
 整理解雇については、手続の妥当性が非常に重視されている。例えば、説明・協議、納得を得るための手順を踏まない整理解雇は、他の要件を満たしても無効とされるケースも多い。

 

会社が行うリストラは上述の要件を満たしていなければ、殆どが不当解雇にあたることになる。

 

このように、現行の労働関係法令や判例では、会社は正社員をクビにできない(法律無視で解雇する会社も多々あるが)。

 

背に腹を変えられない会社は、社員が自分から退職するように仕向ける場合もある。

ここで会社は色々な手段をとってくる。

 

まずは配置転換。社員の苦手とする部署に異動させる。これはまだまし(?)な手法かもしれない。

 

次に仕事をとりあげて、会議室などに缶詰にして、ひたすらレポートを書かせたりする。まぁ、この手段は大企業に多いのだが。大企業なら、僻地に左遷する(しかもまともな仕事がないような)こともあり得る。

 

普通の人ならば、音を上げて退職してしまいまうだろう。

 

まぁ、自分が必要とされていない会社なら辞めてしまうのがいいと僕は思うのだが、生活のこともあるのでそうはいかない人も多いと思う。

 

しかし、このまま在籍していても出世どころか仕事もない会社にいても、将来の展望が開けてこない。

ならば、自分に都合の良い条件で退職できるよう粘ることも考えてみよう。

離職理由を「会社都合退職」にもっていき、失業保険を好条件でもらえるようにする、退職金の上積みを図るなどである(自己都合の場合、退職金が少なめに設定されていることが多いので)。

経営者や上司、同僚、部下から白い目で見られようとも、図太く、厚かましく粘りに粘るのだ。

 

結構、自己都合退職と比べて、多くのものを得られることがある。
 

それと、交渉力がついたりという副産物があったりも・・