希望の舎―キボウノイエ―

漂泊を続ける民が綴るブログ。ちょっとナナメからの視点で語ります。これからの働き方・中世史・昭和前期の軍の組織論・労働問題・貧困問題・教育問題などに興味があるので、それらの話題が中心になります。

雇用問題について考えてみる

僕が出会った愉快(不愉快?)な社長たちの話をしてみる件

僕は社会保険労務士事務所を営んでいるときに多くの経営者に会ってきた。殆どが中小零細企業のオーナー社長である。サラリーマンとは一味もふた味も違ったユニークな人たちが多かったように思う。なまじ個性が強いだけに「私が法律だ」的な人も中にはいて、…

定時で退社するのは当たり前だという件

この社会は時間厳守にうるさい。 電車のダイヤが少しでも遅れると大問題になる。駅でサラリーマンと思しき人が駅員に喰ってかかる光景を何度も目にした。 社会人の心得の第一として時間を守ることが当然のように言われる。時間にルーズな人は信用されない。 …

サラリーマンに経営者目線は全く不要である件

この国の会社ではやたらと社員に経営者の目線を持てだのといって義務や責任を負わせている。この手垢にまみれた「経営者目線を持て」というスローガンは未だに無能な経営者によって連呼されている。 ごく当たり前の話だが、経営者と労働者は与えられた役割が…

社畜から脱するための第一歩は有給休暇をためらいなく取ることだという件

僕が働きだした頃はバブルのイケイケ時代だったので、長時間労働やサービス残業、有給休暇が取れないといったことはさほど大きな社会問題として扱われていなかった。 僕が公務員を辞めて社労士事務所を始めた90年代の半ばごろから労働時間の短縮や有給休暇の…

介護職、聖なる職ではなく賤なる職でもない件

僕は以前このブログで介護や福祉の仕事は特別なものではなく普通の仕事に過ぎないと書いた。介護職を特別視すると様々な弊害が生じるとも書いた。 今回のエントリーではなぜケアワークが神聖視されたり、逆に卑賎視されたりするのかを考察してみたい。 奈良…

人材派遣業者は必要悪であるという件

少し前、経済格差やワーキングプアが盛んに取り上げられたとき、特にリーマン・ショックの影響で派遣切りが横行したときに派遣会社が諸悪の根源としてやり玉に挙げられたことがある。 低賃金で細切れの雇用契約、寮費や生活必需品等を高額で控除する等散々非…

有名企業に採用されたからといって自分が優秀だと勘違いしてはダメだという件

初対面の人と言葉をかわすときに、僕たちは大抵相手の勤めている会社を聞いてしまう。相手の勤め先をランク付けして、そのランクによって相手の値踏みをするのだ。そうすると相手の勤め先が上場企業であったり、有名企業だったり、官公庁だったりするとラン…

「新卒フリーランス」は立派な生き方であるという件

先日ある方のブログを覗いていると新卒でフリーランスになるという学生についての言及がされていた。そのブログの主は全面的に賛同していたが、どうも新卒フリーランスという進路選択に否定的な人たちが多いらしい。 新卒フリーランスに否定的な人たちの主だ…

「自立支援」は劣悪な労働市場への放り出しになっていないかという件〈再掲〉

生活に困窮した人たちを自立にいざなう政策自体に誤りはない。 しかし、「自立」の意味を狭く解したり、自立を強要するような支援は百害あって一利なしである。 初出 2016/1/12 昨年の4月から生活困窮者自立支援法が施行され、生活に困った人たちを救済する…

中小零細企業では結構解雇が行われている件

会社がなかなか正社員として雇い入れない理由は一旦雇ってしまうと解雇が難しいからだ、と言われている。 労働基準法や労働契約法においては「合理的な」理由のない解雇は違法であると規定されているに過ぎない。ただ、やや抽象的な表現となっており、実務上…

非正規雇用という働き方は悲惨なのかという件

全就業者に対する非正規雇用の割合が40%に達している。 この統計から導き出される結論は論者によって異なる。「安定」した働き方を重視する立場からは大問題となるしグローバル化を是認する立場からはさもありなんということになる。 僕は派遣やパートタイ…

会社を辞めることなんて大したことではないという件

サラリーマンは気楽な稼業だと、昔に植木等が主演した映画では描かれていた。昔は昔で勤め人の苦労はあったと思うが、今ほど被雇用者が多くない時代にはサラリーマンは憧れだったのかもしれない。宮使い、月給取りとも言われ、サラリーマンは「安定」してい…

「ウチの会社(部署)で頑張ればどこでも通用する」は真っ赤な嘘という件〈再掲〉

僕がサラリーマン時代によく耳にしたのは「ここでできればどこでも通用する」といった類の物言いだ。 これは単なる自己正当化、逃避、自己満足だと後になって気付いた。 ある職場で仕事が出来たからといって、汎用性のあるスキルが身についたことにはならな…

正社員としての経験だけがキャリアではない件

僕は数年前、社労士事務所を自営しながら就職活動をしたことがある。事務所の経営状況が悪化して廃業を視野に入れていた頃だ。 就業規則の作成、労働相談、社会保険実務、人事給与制度の策定等を結構な数こなしていたので、人事労務管理分野での汎用性のある…

人事のプロ、採用のプロなんていない件

僕が社労士をしているときにちょくちょく人事や採用のプロと自称する人たちに出会った。それは同業者の場合もあれば会社の人事総務部に籍を置くサラリーマンの場合もあった。その当時はそれらのプロを自称する人たちに敬意を表して話をじっくりと聞き、名刺…

ブラック企業問題が可視化されるのは社会が少しだけ進歩したからという件

僕が正社員として働いていたとき、最も嫌だったのは残業することが当たり前という考え方が支配的だったことだ。自分の仕事が終わらない時は仕方ないと思っていたが、付き合い残業をさせられることがたまらなく嫌だった。 ただ、当時は今ほどの長時間労働が常…

どんな会社でも仕事でも3年は我慢すべき、は根拠のないウソという件

一旦会社に勤めたならば3年は我慢しなければならない、と巷でよく言われている。「石の上にも3年」という故事成語に由来するのかよく分からない。この言説は根拠のないウソである。ただの精神論・根性論の類に過ぎない。 とは言え、一理はある。 精神論が大…

「サービス残業」は会社による「収奪」だという件

会社に雇われて働くということは、予め決められた労働者の時間と労働力を会社に提供し、その対価として賃金を受けることである。それ以上でもそれ以下でもない。自分の人生を会社に捧げるなんてことはしなくても良い。自分の家族やプライヴェートを犠牲にし…

就職・転職活動のときに労働条件を確認するのは当たり前という件〈再掲〉

この国の悪しき風習のひとつとして雇用契約においてきちんと文書で契約書を交わすことなくうやむやにしてしまうことがある。 契約において内容を確認し、それを文面にすることは当然のことである。労働契約の契約制を軽視し会社側の恣意に大きく左右されるこ…

「正社員幻想」はまだまだ根強く存在する件

正社員といえども安泰ではない、これからは正社員にこだわらずに働き方を変えるべきだ等の物言いがなされるようなって久しい。 高度経済成長の頃の正社員最強伝説は終焉を迎えたかのような錯覚を覚える。 個人レベルで見てみれば正社員という働き方を捨てて…

精魂尽きるまで仕事に全精力を注がなくてもよいという件

この国の労働者、特に正社員は仕事に全精力を注ぎ込むことが当たり前だとされている。プライヴェートを犠牲にすることも厭わない態度が要求される。 自分の仕事を終えても付き合い残業をさせられたり、意味のない長時間の会議に出なければならない。 極言す…

コミュニティ・ユニオンの存在意義は大きいという件〈再掲〉

働いている人たちの待遇を良くし権利を擁護するためにはお上頼りではなく自力でしなければならない。そのために労働組合があるのだけれども、その衰退が甚だしい。新しい形での労働運動が必要不可欠である。 初出 2015/9/22 働く者ひとりひとりの力は弱い。 …

「不良社員」万々歳である件〈再掲〉

勤めている会社に従順になりすぎるのはあまりにも面白くない。 時には反抗し、自分の意志を表に出すことをしてもよいはずである。 従順ならざる者は排除される危険性があるが、同時に畏敬の念をもたれることもある。 初出 2015/9/10 僕は雇われて働くことが…

「即戦力」なんかにならなくてもよい件〈再掲〉

「即戦力」となりうるスキルや知識を持つに越したことはない。 特に転職をする際には大きな武器になる。 ただし陳腐化しないようによくよく注意しなければならない。 初出 2015/9/15 昨今は新卒者の採用においても「即戦力」を求める傾向にある。この場合の…

就活は所詮は茶番だと割り切ることが大切な件

大学生の就活が始まったとの報道が目に付く。 僕も大学時代は就活をしたが、今ほどは騒がれていなかったし、当の本人には悲壮感は全くなかった。当時は景気が良かったということもあるが、就活によって一生が決まると考えている人たちは多くはなかったように…

中小零細企業は社長の一存ですべてが決まるという件

僕が社会保険労務士をしていたときに力を入れていた業務は労働条件の整備・就業規則の作成そして人事制度や給与制度の構築である。 前者の仕事は結構依頼があった。労働条件、例えば有給休暇や労働時間、週休2日制の導入など問題を抱えた会社が多かったから…

非正規雇用で働く人たちは「ほどほど」に働けばよい件〈再掲〉

派遣やパートの立場で働いていて感じることは、同じような立場で働いている人たちが正社員と同様あるいはそれ以上に真面目に熱心に働いているということだ。 世のほとんどの会社は「ほどほど」以上に働く非正規雇用の社員たちのおかげで成り立っていると肝に…

人は自分よりも劣る人を取り立てる件

僕は常々疑問に感じていたことがある。 それは会社の社長が独裁体制を敷き、そのことによって経営が左前になっているときに幹部は何をしていたのだろうと。確かに独裁的な経営者に異を唱えるとクビを切られることもある。左遷されることもある。しかし、筋の…

世の中のほとんどの仕事は「誰にでもできる仕事」だという件〈再掲〉

人並みはずれた才能や資質を必要とする仕事はごく一部に過ぎない。 ほとんどの仕事は誰にでもできるものである。 つまり代替可能なのだ。 仕事に命をかけることもないし、人生のすべてをつぎ込むことなどない。 初出 2015/7/14 僕は幾度もこのブログで非正規…

「自立支援」は劣悪な労働市場への放り出しになってはいないかという件

昨年の4月から生活困窮者自立支援法が施行され、生活に困った人たちを救済する道筋が一応はできている。 これまでは生活に困窮した人たちに対する支援・援助は事実上生活保護制度しかなく、当事者にとっては非常にハードルが高いものであった。生活保護制度…